本当の登山の話をしよう
※2026年1月26日発売です。
人はなぜ山に登るのか――著者30年にわたる「登山批評」の集大成。
第Ⅰ部は、デビュー作『サバイバル登山家』以前に書かれた、著者の原点ともいうべき隠れた名篇のほか、若き日に憧れた和田城志へのインタビュー、山で書いた「遺書」についての回想記を収める。
第Ⅱ部は、山野井泰史、星野道夫、フリチョフ・ナンセン、デルスー・ウザーラ、ウォルター・ウェストンら、著者が敬愛する人物たちを通して登山とは何かに迫る。また、クマとのつきあい方、世界と日本の最高所の意義について私論を展開する。
第Ⅲ部は、廃山村での自給自足のほか、狩猟のパートナー・ナツ(犬)の失踪騒動、もうひとつのライフワーク・中距離走の喜びなど、近年の暮らしのあれこれを語る。最後に、登山よりも先に志したという文章表現について論じる。
〈なぜ山に登るのかという質問を、山に登らない多くの人が、山に登る人に投げかける。
わかりやすく答えるのは難しい。質問に含まれる「なぜ」の裏には、「辛くて、大変で、無償なうえに、もしかしたら死ぬかもしれないのに、なぜ」という思いが隠されているからだ。「死ぬかもしれないのになぜ」とまっすぐ聞いてくれるなら、風景やストレス発散が、登山の理由にならないことは明白だ。景色を見るために死ぬ思いをする人はあまりいない。
山に登る理由はただ一つ、自己表現だと、思っている。自分が山(ひいては地球というフィールド)で何ができるのか。それを知りたいし、示したい。そういう意味では芸術一般と変わりがない。登山はダンスに似た身体表現の一種類だと私は考える。〉「富士山 世界で一番手頃な高所」より
●目次
Ⅰ
高い山から深い山へ
遺書がわりの登山日記
和田城志 「登山とはなにか」の師
Ⅱ
山野井泰史 ただ好きだから登る
星野道夫 狩りの道標
フリチョフ・ナンセン 史上最高のホモ・サピエンス
デルスー・ウザーラ 猟師の世界観
ウォルター・ウェストン 百年前のフェア登山
裏山のクマ この星で生きるということ
エベレスト 最後の極点
富士山 世界で一番手頃な高所
Ⅲ
粉雪滑降の快感とリスク
冬靴について
最高の自由
こころと内分泌
ひとりでずっと山にいる
東京オリンピック観戦記
阿蘇山
ナツ失踪記
散歩について
こころと体
震災から一四年
日本語を書くということ
ちょっと長いあとがき、もしくは最近の生活
単行本未収録のエッセイの中から批評精神あふれる22本を選りすぐり、最近の知見・体験をふまえて大幅に改稿しています。
※服部文祥の登山・狩猟・岩魚釣りのノウハウについては『サバイバル登山入門』を、都市生活での狩猟・採集・DIYのノウハウについては『アーバンサバイバル入門』(どちらも小社刊)をお読みください。
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